【第3回】
外国人患者への自由診療

公開日: 2016年9月5日月曜日




日本人も外国人も変わらない自由診療へのニーズ


 前回までは、外国人患者の健康保険診療についてお話をしました。今回は、外国人患者の自由診療についてお話をしたいと思います。

 当医院では、外国人患者だからといって日本人患者と自由診療の内容が異なるということはありません。また、基本的には診療費も同一料金でチャージしています。

 一般的に、当医院における外国人患者が希望する自由診療の傾向は、日本人とあまり変わらないのが実情です。
 希望する治療の多くは、「メタルインレーやメタルクラウンが目立つので、白いセラミックにしたい」というものです。
 他には、欠損補綴について「取り外しのデンチャーが嫌なので、固定性のインプラントにして欲しい」といったものや、「デンチャーのクラスプのメタル色を何とかして欲しい」といったものもあります。


日本で治療するか、母国で治療するか?


 外国人患者も日本人患者と同様に、多くの人は「治療費が安価で済むならば、それに越したことはない」と考えています。しかし、ここで外国人患者ならではの興味深い点があります。外国人患者は、「母国の治療費と比較して、日本で治療を受けるかどうか」という選択をする人が多い点です。

 第2回でお話ししたように、健康保険が公的社会保険として機能をしていて、かつ歯科治療が認められている国は少数です。
 つまり外国の歯科治療の多くは自由診療であるのが一般的ですので、外国人患者が自国で歯科治療を受ける場合、その治療費は日本の健康保険の窓口負担額に比べれば高額になるのが一般的であるといえます。その一方で、日本の自由診療の治療費が、自国のそれに比べて高い場合もあるといえます。

 たとえばメタルボンドを84,000円とした場合、「この金額だと自分の国で治療したほうが安い」という外国人患者は多くいるように感じます。

 ただし、これは東南アジア圏の外国人患者に限ったことで、欧米圏の外国人についてはこの限りではありません。たとえばアメリカなどは、日本のメタルボンドの値段が自国のそれよりも安価であるようなので、「日本でメタルボンドやオールセラミックを入れたい」と希望する人もいるようです。


請求時の注意点


 「母国に戻ってメタルボンドやオールセラミックを装着したい」という希望を持つ外国人患者の場合、日本の治療をどこまで行うかという点について考える必要があります。

 たとえば根管治療を終えるまでは保険請求をして、その後は母国に帰って支台築造から継続してもらう場合は問題ないといえます。

 しかし、支台築造まで日本で行って、母国に帰ってから治療の続きを行う場合や、支台築造を終えてテンポラリークラウンのセットまでを日本で行ってから母国に帰って治療の続きを行う場合などは、保険請求の取り扱いに注意をしなければなりません。
 日本の歯科の保険請求では、基本的に支台築造、支台歯形成、印象採得、テンポラリークラウンなどは保険請求ができない取り扱いになっていますので、場合によっては請求取り下げを行うことも考えられるからです。

 ちなみに当医院では、外国人患者が母国に帰ってクラウンを入れたいという希望がある場合、支台築造、支台歯形成、テンポラリークラウンなどについては自費診療の扱いをしています。

 患者さんはインターネットなどで各医院の自由診療費を比較して医院を選ぶ時代です。
 そして、外国人患者の場合は、自国に戻って治療を行うというオプションがあります。
 このことを念頭に置いて、少しでもトラブル防止になるような対応を心がけましょう。

次回は、『中国人患者の傾向と対策』について開設いたします。


  • ?±??G???g???[?d????u?b?N?}?[?N???A

0 件のコメント :

コメントを投稿