【第4回】
中国人患者の傾向

公開日: 2016年10月3日月曜日





新宿区でもっとも人数の多い外国人は中国人


 前々回、前回は外国人患者の健康保険範囲内の診療と自由診療についてお話をしました。
 今回は、外国人患者の中でも新宿区において占める割合が多いと思われる中国人患者についてお話をしたいと思います。

 新宿区における住民基本台帳の外国人住民国籍別登録において、中国人は1位となっており、その数は14,517人(平成28年9月1日現在)です。これは2位である韓国または朝鮮人の10,180人の約1.4倍の人数となっています。

 当医院における中国人患者は、留学生と個人事業主が多いです。なので、健康保険についていえば、国民健康保険に加入する人が多いといえます。
 また、社会保険本人の中国人患者も少数いますが、この方たちはインターネット関連の会社に勤める方が中心となっています。

 ちなみに、健康保険証を持たない自由診療の中国人患者は、以前と比べると少数です。これは、以前紹介した外国人の健康保険加入要件の改正の影響かもしれません。



当医院に来院する中国人患者の傾向


 中国といっても広大であり、一括りに中国人の気質や性格を語ることはできませんが、当医院に来院する中国人患者について、簡単に以下に所感を述べたいと思います。

 第一に、当医院に来院する中国人患者について感じるのは、痛みに強い人が多いことです。C2の充填処置などは、麻酔をしなくても我慢できる方が多いように思います。

 経験上びっくりしたのは、妊婦の患者さんで抜髄が必要だったのですが、「局所麻酔をしないで抜髄をして欲しい」という患者さんでした。治療の最後まで麻酔なしで平然とした様子でいたのには驚きでした。

 ちなみに局所麻酔についていうと、
  1.  麻酔の効果を信用していない(母国の麻酔がほとんど効かなかった経験から
  2.  局所麻酔をすると治療費が高くなると思っている(健康保険診療の患者さんに見られます)
  3.  注射自体が嫌いである
といった感覚を、当医院の中国人患者は持つ人が多いように見受けられます。


 第二に、当医院に来院する中国人患者について感じるのは、電話予約やインターネット予約ではなく、直接医院に飛び込みで来訪する人が多いことです。

 日本人患者でも飛び込みで来院する人もいますが、多くの日本人患者は電話で探りを入れながら予約を取って来院します。
 当医院は診療予約制を採っていますので、痛みや脱離などで困って来院する急患などは、予約患者の治療の合間に応急処置をする対応を採っています。ゆえに急患については、診療を受けるまで待つ時間が長くなるのは当然といえます。

 日本人だと「治療を受けるまで待ちますよ」と伝えると、「他の医院に行きます」という人のほうが多いのですが、当医院に来院する急患の中国人患者は、「わかりました、待ちます」という人が圧倒的に多いです。


 第三に、当医院に来院する中国人患者について感じるのは、日本人患者よりも予約時間の遅刻が少ないということです。

 初診時は飛び込みで来院する人が多くてバタバタと対応に追われることが多いのですが、再診時は割とスムーズに治療が進められます。
 これに対して無断キャンセルについては、日本人患者よりも多いように感じます

 遅刻は少ないけど無断キャンセルは多い。時間については全か無かの合理的な思考なのかもしれません。


 以上、当医院に来院する中国人患者について所感を述べてみました。
 これからも多くの地域で中国人患者は増える傾向にありますので、皆様の参考の一助になれば幸いです。

次回は、『韓国人患者の傾向』について解説いたします。
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