【第5回】
韓国人患者の傾向

公開日: 2016年11月7日月曜日



中国人に引き続き人数の多い韓国人


 今回は、新宿区における外国人登録者数において、中国に次いで多い韓国の患者についてお話をしたいと思います。
 新宿区における住民基本台帳の外国人住民国籍別登録において、韓国または朝鮮は2位となっており、その数は10,246人(平成2810月1日現在)です。これは3位であるベトナム人の3,435人の約3倍の人数となっています。

 当医院における韓国人患者は留学生が少なく、日本で働いている方や日本人と結婚している人が多いです。これは、当医院のある大久保地域が日本有数の韓国人街であり、お土産屋さんや飲食店がたくさんあるからかもしれません。また留学生の多くは、東日本大震災による原発事故の放射能の影響で本国に帰ってしまった人が多いと聞いています。

 このように、当医院の韓国人患者の多くは、日本で働く人だったり日本人と結婚している人たちだったりするので、日本語が通じる場合が多く、あまりコミュニケーションは困りません
 稀に日本に一時滞在する旅行者などが来院することもありますが、韓国人は中国人や他のアジア圏の人と比べると英語を話せる人が多いので、英語のやりとりで何とかなる事も多いです。

 健康保険について言えば、国民健康保険と社会保険の割合は半々くらいです。健康保険証を持たない自由診療の韓国人患者は、以前と比べると少数です。これは、以前紹介した外国人の健康保険加入要件の改正の影響かもしれません。


当医院に来院する韓国人患者の傾向


 当医院における韓国人患者さんについて、簡単に以下に所感を述べたいと思います。

 第一に、当医院に来院する韓国人患者について感じるのは、中国人や日本人の患者と比べると、痛みに弱い人が多いことです。
 スケーリングを超音波スケーラーで行う場合など、痛みに耐えられないので麻酔をしてほしいという方が時々います。
 また、根管充填処置の場合に、シーラーが根尖孔から押し出される場合の痛みなどにも耐えられないという場合もあります。
 このように、韓国人患者については、痛みに弱い傾向が見受けられるので、局所麻酔下でこれらの処置を行ってあげることが必要な場合が散見されます。

 第二に、当医院に来院する韓国人患者について感じるのは、審美的要求度が高いことです。
 メタルの充填物や補綴物は基本的にNGな方が多いので、健康保険範囲内でメタルの充填物や補綴物を装着するケースなどでは、なぜそれを行う必要があるかを事前に説明をして同意を得ないとクレームに繋がることが多いです。
 しかし説明をしてもメタルについては納得をしない患者もいるので、こういう方の場合はCR充填等の直接法のデメリット(防湿が不十分、コンタクトポイントの回復が不十分、材料の耐久性等)をしっかりと説明したうえで処置に入ることが必要です(場合によっては他の医院を紹介するのも一案です)

 そしてこれらのやり取りはカルテに記載することが大切です。

 また、前歯部のシェードテーキングなども、自分で選ばせた方がトラブル防止になる場合も多いように思います。

 韓国は大統領が整形手術をするくらい審美には力を入れている国ですので、歯科医師に対する審美的要求は日本と比べると高いものがあります。
 そして韓国における歯科医師は医師よりも高所得であることが珍しくないので、歯科医師にもとめる診療水準は日本よりも高いのかもしれません。


 もしみなさんの医院に韓国人患者が来院した時には、これらのことを念頭に置いて対応すると良いかもしれません。

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